職場で気を付けるべき人

 職場で気を付けるべき人は、第一に、意地悪、モラハラ、パワハラ、嫌がらせといった感じをする人ですが、こういう人は、悪意が表面化しているので、誰でも、すぐに「やばい」と認識できます。

 実は、別種の、「気を付けるべき人」が存在しますが、多くの人は認識できずに、その術中に嵌ってしまいますし、そのことに、一生、気が付かずに過ごしています。

 それは、あなたを何でも肯定して、庇ってくれる人(親切な先輩)です。
 
 誰でも、自分を肯定して、庇ってくれる人には、好感を持ちますが、そこに罠があります。
 
例えば、上司に叱られた後に「あなたのせいじゃない!あの言い方はひどい」などと、こっそり慰めの声を掛けてくる同僚がいます。

ミスは「自分のせいじゃない」、「パワハラ上司の八つ当たり」となれば、ショックは和らぎます。
 内心は自分にも非があると認識していても、人間、耳ざわりのよい言葉を、信じたくなります。
 と同時に、上司に対する怒りと反感が湧いてくると思います。

 では、「声を掛けてきた人」は、善意のみなのでしょうか?
 この行為による「声を掛けた人のメリット」を考えてみると

① あなたを庇うことで好感を得る。自分の味方を増やす
② 上司に反感を持つ人を増やし、上司を孤立させる
③ あなたの仕事のフィードバックを消して、成長を阻害し相対的に自分が優位に立つ
④ あなたの思考を憎悪で支配し、生産性を下げる
 これも相対的に自分が優位に立ちます。

 声を掛けた人は、味方を増やし、上司を孤立させ、同僚の成長を阻害することで、職場内でより優位な位置に立てます。

 でも、多くの人は、この意図に気づけず、その罠にはまり、自分も同様のことを始めます。

 その他にも、現状をやたら肯定して、意味のないことを意味のあるように信じ込ませたり、改革や挑戦する人を、社内秩序を乱す悪人として孤立させたりすることもありがちです。
 愚痴を言いあい、出る杭は打ち、足の引っ張り合いという感じです。

この戦術は、周りを下げた分、自分が上がるという理論なので、組織全体の成長性がなく、正直、あまり合理的ではありません。

 理論的に考えるなら、「組織全体の長期利益を最大化」する方法を考えて、組織構成員全員がその方向に進むことができれば、長期的には、個人の利益も増えるでしょう。

 しかし、そうした組織を作ることは、とてつもない困難さがあります。

 人間は、本質的に「今だけ、金だけ、自分だけ」という性質を持っています。

 こういう人は「組織全体」と「長期的」という二つの概念が理解できません。
 
 一方、周りに不利益を与えた分、自分が得する理論の方が、シンプルで、直観的に誰でも理解できます。さらに、この方法は、努力の必要がなく楽なので、多くが、こちらの戦略を選びます。いわゆるテイカー気質というものです。

 もし、理想の会社(皆が共通目的に向かって邁進する組織)が存在したとします。
 その会社は、急成長することができるでしょう。
 
 しかし、数年もすると、組織の中に、仕事をしているふりをしているだけの、フリーライダーが出現します。
 急成長する組織の中に「ただ乗り」することが、その個人は一番得だからです。
 まじめに仕事をしている人が、損する構造が生まれると、馬鹿らしくなって、周りを下げた分、自分が得する戦略を取り始める人が増えます。
 いつかは、企業価値の増大、顧客第一主義、絆、俺たち仲間、社会貢献、そんな美辞麗句を並べながら、やってる感だけ出して暮らす人たちの集合体になります。
 一見、癒し系で、お互いをスポイルして暮らします。
 こうなると、ゲーム理論でいう「囚人のジレンマ」に近い状態で、組織は、変われません。

 多くの企業の実態です。組織寿命の原理とも言えます。

 個人で出来る対処方法ですが、まず、職場の同僚達を必要以上に警戒する必要はありません。
 同僚の、親切に潜む「裏の意図」に気づいても、ご本人は、無意識で悪意がないので、嫌悪感を出さないようにしてください。
 嫌悪感は、いずれ、周りに気づかれ、トラブルを招きます。

 組織で生きる限りは、職場の同僚とは、同類になって仲良く楽しく過ごした方が、自分にとっても楽だと思います。
 相手を短所も含めて、親しみを感じるようになりたいものです。
 ※私自身は、その領域には到達できていませんが

 大事なのは、周りに流されず、自分で考えて、自分の人生を切り拓いていく意思です。
 見えないところで、着実に努力して、実力をつけていきましょう。

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