教師は生徒を正しく評価できるか

 先日、実家の片付けに行ったら自分の小学生~中学までの通知表が出てきた。
 
 自分の記憶通り、平均以下のレベルで、教師のコメント欄は、「やる気がない」「責任感がない」とか、結構ボロクソに書かれていて笑った。

 確かに小学生時代は、字も汚く(今も)、忘れ物も多く、宿題もほぼやらず、居残り勉強させられても、居残り組で集団脱走(帰宅)したりで、低評価なのは納得できる。

 しかし、中学生になってから、テストの点数はそれなりに取れていたのに(5教科で400点台も)、評価は低いままで、理由は、「やるき・責任感がない」といった教師の主観である。
 課題はちゃんと提出していたし、普通レベルにまじめだったつもりだが、どうしてこうなるのか気になる。

 中学時代の成績は、そのまま内申点に直結し、高校進学先等で、その後の人生を大きく左右する重要事項だ。
 参考コラム:人生で一番大切な時期はいつか

 そこで、原因について、考察してみた。

原因1:本人の自己能力レベルの思い込み

 幼少期~小学生くらいの成長期は、同学年内でも、成長差(体格、知力など)がとても大きい。
 この時期に、同年代より成長が遅れ気味であると、子供同士の力関係が弱くなり、競争を避け、消極的になりやすい、集団内で上手いポジションを見つけて、上手く渡っていくことを自然に覚える。
 目立つことを避ける反面、観察眼は磨かれる。

 ※実際に、私も早生まれなので、小学生くらいから、自分は「中の下」くらいの能力だと、思い込んでいた。

原因2:教師の評価能力の限界と、個人的な好き嫌い

 小学生時代に発達(体格や学業)の遅れた子は、中学時代になって、成長してきても、自覚できず、競争回避的、消極的な性格になりやすい。
 そうした生徒は、教師から見ると、低評価されやすい。
 
 また、教師個人の生徒の好き嫌いの影響も大きいと思う。

 教師の立場からしてみれば、自分を慕って、リスペクトしてくれる生徒が好ましく感じる。

 逆に、自身へのリスペクトが感じられず、生徒から観察者的な態度をとられると、不快感を感じると思う。

 成績評価は、教師の主観の影響が大きく、例えテストの点数等がよく、課題も提出していたとしても、低めの評価となってしまう可能性があると思う。

 実際に、成績が中の上クラスでも、通知表でオール5を取り、進学校に推薦入試で入学するような生徒は、見るからに品行方正な、育ちの良さそうな子が多い。
 また、男女比で、女性側がかなり有利な傾向があるようだ。

原因3:親が教育熱心な子弟への内申点の優先配分

 親が学習熱心なエリート家庭で、難関校を目指して特別な学習塾等に通っているような子は、深夜まで勉強していることもあり、学校は休息の場で、授業中に居眠りしたり、態度も教師をリスペクトしない傾向がある。
 教師から見ると、内心は気に食わない生徒も多いと思う。

 しかし、テストの点数さえ良ければ、定性評価も良くなるケースが多い。
 ※つまり内申点がよくなりやすい。
 
 理由として、下手に低評価を付けると、親からクレームが入るからだ。
 例えば、テストが高得点なのに、授業態度などを理由に5段評価で4を付けた場合、エリート親から、その根拠について、理詰めで詰められたら面倒だし、大事になると、教師自身の評価にも悪影響が及ぶ可能性があり、高評価を与えてしまうようだ。
 
 結論からすると、現状の内申点を重視する成績評価制度は、能力が高くても「態度・やるき」といった教師の主観により、評価が下がるため、尖った生徒は低評価されやすく、長期的には、経済の成長にとってマイナスの影響になると思う。
 ※新たな価値を創造したり、挑戦する人は、多少変わった、尖っている人が多い。
 ※中学時代の内申点は、その後の人生に大きな影響がある。

 日本社会が、顔色を窺って、空気を読む人が、出世する社会になっている原因は、現状の生徒評価のやり方も影響しているかもしれない。
 
 もし、公平なものにするとしたら、全国で一律のペーパーテストを行うことだと思う。大学のセンター入試的なものを、中学でも年に数回行うことが考えられる。
 当然、ペーパーテストの評価の限界はあるが、教師の主観は排除できるので、現状よりは、個人の能力はより正しく評価できる可能性が高い。

しかし、テストの点数だけで評価すると、教師側は生徒をコントロールできなくなる可能性がある。 
現状の、内申制度は、教師が生徒をコントロールするための手段として機能している。
 ※中学教師のありがちな脅し文句は「内申点に響くぞ」だ
 
また、内申点の高い優等生の、従順で模範的な態度は、社会の調和を保つためには、貢献していると思う。

 だから、内申的な要素は、全体の評価の中で1割くらいは残すべきなのかもしれない。

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