日本の大学教育制度は、シンプルに考えて、制度・構造の根本のところで変(非効率)だと思う。
その辺の違和感を言語化してみる。
まずは、二択クイズ
Q:a.bどちらが一生懸命勉強するでしょうか?
Q1
a.高校を卒業して、とりあえず大学進学した
b.社会人が、勉強の必要を感じて大学入学した
Q2
a.学費を親が払っている
b.学費を自分で払っている(あるいは借りている)
Q3
a.入学すれば、大体の人が卒業できる
b.落第しやすく、かなり頑張らないと卒業が難しい
どう考えても、上記Q1~3の「bの方」が一生懸命勉強するはずです。
※ちなみに、根拠となる調査データはありません。
あえて、理論付けすれば、目的意識、主体性、モチベーション、本人が負っているリスク(学費自己負担や退学)という点で、「bの方」が大きいから、とは言えます。
日本は、a.bどちらに該当するか、考えてみると
日本のメイン層は、高校を卒業後(18歳)に、親に学費を出してもらって進学し、入学したら大体は卒業できるという状況です。
※当然、個人差はあります。
上記の「aの方」になり、目的意識も、リスクも主体性も低く、構造的に、勉強するモチベーションが高まりにくいと言えます。
さらに、日本の現状は、「60%の大学が募集定員割れ」「私大の推薦入学率50%」という時代です。
お金さえあれば誰でも、大学に入学できる時代です。
日本の学生が勉強しないと批判されることがありますが、構造的に仕方がないことです。
一方、他国(欧米諸国)は、大学入学時の平均年齢は20代前半くらいで、アメリカは30代も珍しくありません。学費や生活費負担のデータがないですが、年齢から考えて自己負担が多そうです。(ヨーロッパは学費無償が多い、生活費はかかるが)
また、大学中退率は、日本10%に対して、OECD平均25%とかなり高く、まじめに勉強しないと卒業は難しいです。
よって、欧米の大学は、構造的に「bの方」で、学生の勉強意欲が高まりやすいと言えるでしょう。
こうした、諸外国との基本的構造差が、将来、国力に及ぼす影響を考えると、恐ろしいです。
日本の大学のレベル向上を考える場合、こうした基本構造をなんとかしないと、どれほど教育分野に巨額な税投資をしても意味がないと思います。
また、大学の教育制度を変革するには、法律を変えるだけで、大きな税投資の必要ありません。そして、長期的に大きな社会利益が期待できると思います。
※ただ、学生個人にとっては厳しい状況になるので、反対は多いと思います。
参考コラム:社会構造は、法制度によって作られる(姉妹サイトへ移動します)

