仕事から逃げ回っている人の中に闇(サイコパス)を見た

 一見、善良そうな身近な人間から、闇を感じる時は、ゾクッとする。

 昔、サラリーマン時代ですが、闇を感じたことがある。

 建設コンサルタントというインフラの計画設計をする会社に在籍しており、社内の業務配分は、行政から受注した数百万~数千万円くらいの業務を、部長が、部員に割り振っていく形になっていた。

 コンサル業務によって、難しいor簡単、業務金額の大小など、極端な違いがあるので、大きくて難しい業務ばかりやる人と、小さくて楽な業務ばかりやる人では、個人成績(売上額や利益額)は、数倍の差が生じる。 
会社の8割の利益を2割の人材が出しているという、パレート法則は、実感できる企業だった。

 一方、給与体系は、年功序列だったので、個人成績に数倍の差があっても、給与額は、あまり変わらない状況だった。
 
 やってもやらなくても、報酬が変わらないなら、仕事を「やってる感」だけ出して、なるべく働かない方が、個人の損得勘定的には、合理的選択と言える。

 だから、かなりの職員が、小さくて楽な業務ばかりやって適当に流すという戦略を取っていることに、入社後、数年して気が付いた。
 大きい業務や、難しい業務が来れば、皆が、逃げてしまう会社だった。

 でも、逃げた仕事は、誰かがやらなくてはならないわけで「自分が良ければ、他人がどれほど苦しんでも平気」という感情が潜んでいる。

 そうやって、仕事から逃げ回って10年、20年と過ごした中高年からは、闇を感じることが多かった。

 こういう人は、まず、人生戦略が「会社に一生面倒を見て貰う」という一点のみで、自力の思考を一切放棄してしまっている。
 時間軸が、「今」その瞬間しかない。
 
 だから、将来の夢も希望もなく、必然的に、自分の価値を上げるような勉強や努力も一切しない。
 
 表面的には良い人を取り繕い、常に「しぶしぶ、嫌々、ダラダラ」という感じで仕事をして、酒、たばこ、ギャンブルなどの、刹那的な浪費だけが楽しみといった感じだ。

 大変な同僚の手伝いをすることは絶対になく、「大変そうだな、俺も大変だ」といった感じで、すべてを受け流す。

 また、業務トラブルもよく起こして、尻ぬぐいをさせられたものだが、業務を他人に押し付けることに成功した瞬間、心底うれしそうに一瞬「ニヤッと」した表情を浮かべるのを見ると、背筋がゾクッとした。
 「今だけ、金だけ、自分だけ」というフレーズそのままだ。
 
 そして、この人たちは、正直、幸福そうには見えなかった。
 むしろ、年を取るごとに、すべてが不利になり、将来不安は増大するようだ。
 しかし、長年、自力の思考や努力を放棄して生きてきて、今更、自力で動くことも困難である。

 厄介なことに、本人の自己評価は高く、テイカー気質に染まっている自覚がない。
 そこで、社会や会社を恨んだり、絶望してメンタル壊したり、自暴自棄になって、さらに刹那的な浪費に走ったりする人が多い。
 
 年功序列の終身雇用、やってもやらなくも、報酬もあまり変わらず、毎年昇給して解雇もされない構造は、必然的に、多くの人にこうした人生を歩ませることになる。

 日本国内に、社内失業者は500万人近く存在すると言われているが、これらを雇用し続ける企業負担は、年間50兆円位になる計算だ。

※一人あたり総コスト(人件費、社会保険、通勤費、事務所費・総務管理費など)総額年間1000万円と仮定した場合

 企業負担50兆円が、研究開発や設備、人材投資などに利用されれば、経済も発展し、給与も雇用も増え、社会全体に的には、良いことづくめだと思うが、社会の年功序列の終身雇用への羨望は強烈だ。

 国が企業に社会保障を押し付けるような構造がある限り、日本の復活はないと思う。

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