最近「さす九」(さすが九州の略)という言葉を最近見かける。
九州には親族が多いのだが、確かに九州の家族構造に独特な共通点があると思う。(あくまで知っている範囲です。)
夫婦間(男女)や親子間の厳格な序列や役割分担が、共通観念化し、当たり前になっていて、当人達(主に高齢者)は、疑問を感じないようだ。
九州は男女問わず、頑固で主張が強く、激しい性格の人物が多い中で、序列や役割を厳格にすることで家族の形を維持しているように見える。
親の意味不明な要求に、成人した子供でも反論できずに従うところをみて、心理学でいう「サーカスの象」が思い浮かんだ。
昔からある九州的なイメージとも合致するし、サザエさん(元々福岡が舞台)や、クレヨンしんちゃんの熊本のおじいちゃんと娘(三姉妹)は、九州の家庭の雰囲気をマイルドに表現しているように思えるので、他地域の人が九州的に感じる点だと思う。
九州的だと感じる家族関係を挙げると
① 父親を恐れ、絶対服従するように教育されている
これまで「父親は鬼だ」という人に3名遭遇したが全員九州出身だった。
※クレしんママの姉妹が熊本の父を極端に恐れる
父親は、家庭内のすべてに拒否権を持つ。根拠が「好かん」「聞いとらん」といった意味不明なケースも多く、ご機嫌とりに家族は振り回される。
② 夫婦の共依存関係
妻は、夫の世話を焼いて、家庭のことを何もできない男にして妻に依存させる。
妻が夫に対抗する方法は、部屋に閉じ籠る、寝込む、家事を放棄する等の行動をとる。
※心理学的には「受動的攻撃行動」と呼ばれるらしい
すると、夫は困るため、妻の言うことを聞くようになる。
※「男なんて気持ちよくして、手の平で転がせばよかったい」と、ばあちゃんが、言っていた。九州にありがちな表現らしい
夫は、妻に家事と育児だけさせて、夫に依存しないと生きていけない状況にしたがる。
そのため、夫婦が、お互いを信用せず、共依存関係で離れられない状態で均衡している感じだ。
③ 母の息子への支配関係
息子を溺愛し、特別扱いし、世話を焼いて、なんでも肯定する一方で、反抗すると、伝家の宝刀「父さんが怒る」で脅す。
飴と鞭で、息子を自分に依存させて、プライドの高い、マザコン男に育てたがる。
④ 母の娘への支配関係
自分の生き方を理想として「男の転がし方」を娘に仕込む
娘に、将来の介護や世話を期待し、自分の近くに置きたがる
反抗すると「父さんが怒る」と脅す。
※サザエ(長女)が実家に同居、クレしん熊本実家も長女が同居している。
⑤ 兄弟姉妹関係
兄弟姉妹間の立場は、性別関係なく年齢順に強い
※サザエさんとカツオの関係、クレしん、熊本三姉妹の力関係など
姉、弟だと、姉の方が強いが、親は男児優遇する。
九州的だと感じる家族形態は以上のようであるが
九州が独特な理由として、第一に江戸時代の士族比率が他地域の2倍以上も多く、維新後も士族文化(序列重視)が色濃く残った地域(官軍側だったため)である点が考えられる。
また、日本の南西の島であり、地理的に孤立していたため、メンツ重視の中世人的な激しさが残っているとも考えられる。
※司馬遼太郎もエッセイでそんなこと書いていたな
江戸時代から東海道、中山道など江戸~大阪間を毎年数百万の多様な人々が行き交った地域と比べて、身分・立場の違う人間がフラットに議論することに慣れていない感じがする。
肯定的に捉えると、九州は「家」を重視し、お互い依存する社会なので、感情的で、無計画な人間でも生きやすい気楽な社会でもある。南国だし
俺たち家族(仲間)、激情、ブチギレ、パ~ンチみたいなワンピース的世界観が好きな人には、向いている。(ワンピース作者も熊本出身か)
例えば、自己破産率、生活保護率、中絶率、離婚率などのデータを見ると、九州・沖縄地方は、上位グループの常連で、感情優先の社会で、悲劇も多そうだが、幸福度は高いらしい。
一方で、身内で共依存関係を作りたがり、過干渉でもあり、個人が自立して、自由にいろいろ挑戦したい人には、きつい環境でもある。
「さす九」は、そういうのが嫌で、九州を出てきた人たちが語っているケースが多いと思う。
※女性に限らず、「男らしさ」を求められ苦しむ男性もいると思う。
また、九州出身の配偶者の実家等からの干渉に、うんざりしている人も多いかもしれない。
ただ「九州出身者と結婚するな」的な、煽りは、問題があると思う。
別に、モラハラや男尊女卑の人は、九州に限らず全国どこの地域にも存在しているし、高齢者ほどその傾向が高い。
80年代の流行歌「関白宣言」(さだまさしも長崎出身か)を聞いてみてほしい。流行当時、今の老人達の多くは、流行時に大人だったのだから、全国に、亭主関白を美徳としている老人は、たくさんいると思った方がよい。
また、40代以下世代なら、日本全国、同じ情報やコンテンツを共有して育っているので、地域で大きな性格・価値観の差は、あまりないと思う、この問題は、30年後には、ほぼなくなっているかもしれない。

